「なぜミスが起きたのか?」
原因追及は、ものづくりには不可欠です
でも人間関係にそれを持ち込むとうまくいきません
あるイタリアの工場では、作業員が安全のためのゴーグルをしないことが問題でした
最初「なぜゴーグルをしないのか?」と原因を追究する質問をしているうちは、「ゴーグルをしない奴が悪い」「職人にいちいち口を出す上層部が悪い」と、犯人捜しになりトラブルに発展しました
そこで「どうしたら作業員がゴーグルをするのか?」と解決型の質問をすると「かっこいいゴーグルを作ったら作業員が装着するのではないか」という意見があがりました
試しに一部の部署でおしゃれなゴーグルを装着して作業をしてもらうと、他部署からも「俺達にもあのゴーグルをよこせ!」となって結局、全員着用したのです
ゴーグルを着用しない原因は一切追及せず、解決に目を向けて問題を解決した事例です
このように解決に目を向けて問題を解決していく手法は、「ソリューション・フォーカスト・アプローチ(解決志向短期療法)」と呼ばれる心理療法です
例えば部下に「なぜ、遅刻をしたんだ!」と過去型問題志向の質問をすると遅刻をした言い訳しか出てきません
変えられない過去について詰問されると、自分の身を守るために言い訳しか出てこないのです
では、「どうしたら、今度から遅刻せず、定刻に来られる?」と未来型解決志向の質問をするとどうでしょうか?
部下は遅刻をしない方法を探しはじめます
未来は何の制限もなく自由に方法を考えることができるからです
詰問されると人は自分が傷つかないように心を閉じます
心を閉じた相手に何を言っても届きません
さらに過去にできなかった場面や理由が次々と浮かびます
すると、自分はまたきっとできないだろうという不可能感が高まり、やる気が失せます
人は自分の気分を悪くする人を好きになりません
「なぜ?」ではなく「どうしたらいい?」と質問することで、相手は「自分にもできるかも!」という可能感や、やる気を高められます
このような言葉選びをできる人が好かれるのです
「なぜ?」ではなく「どうしたらいい?」と質問する!
なぜか好かれる人がやっている100の習慣
藤本梨枝子 明日香出版社 2020
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