仕事の「選び方」を間違えない

働き方

年収で選ぶとロクなことがない

世の中で天職に就ける人は、そんなに多くないと思います
僕のまわりにはエンジニアが多いのですが、彼らの中には、「プログラムを書くこと」そのものが楽しいという人種がたくさんいます

けれど、就職活動などを思い出してもらえるといいのですが、「給料」で仕事を選ぶ人がたくさんいるのが現実です
「就職ではなく就社だ」とよく揶揄されますよね

一般的に、「年収1000万円信仰」というものが存在します
これはずっと昔からあるものです
「会社とかあんまりよくわからないけど、たぶん年収が高いほうがトクだよな」という感じで会社を選ぶと思うのですが、年収が高いことの裏側には、様々な理由があります
「めちゃくちゃ優秀な人しか入れないから年収が高い」という会社と、「年収を高くしないと人が来ない」という会社には、働く上でかなり大きな差があります
それを考えずに、ただ年収を偏差値みたいな指標にして仕事選びをすると、幸せに働くことはできません

もうひとつ、多くの人が仕事選びで間違っていることがあって、それは、「転職しないほうがいい」という先入観です
学生のときに選んだ会社がそのまま天職であることは、ほとんどないでしょう
僕のまわりで今、いきいきと働いている人は、ほとんど転職を経験しています
だから、ひとつの場所で耐えて耐え抜くよりは、転々と職を変えたほうが働きやすい会社は見つかりやすいはずです

それに、いい会社は辞めた後も意外と戻れるんですよね
一度辞めて戻ってきた人が多い会社というのは、結構いい会社が多いです
辞めた人が二度と戻ってこない会社は、「比較してみたら他の会社のほうがよかった」という結果なわけです
だから、若いうちは1回くらい転職したほうがいいと思います
公務員だと、1回辞めたら戻れませんが、終身雇用なんて形骸化したシステムですから、辞めることに抵抗は持たないべきです

「東芝がなくなるかもしれない」と言われている世の中ですが、そんなことを10年前に誰が予想したでしょうか
新卒で入った会社が、60代になる40年後まで残っているかどうかなんて誰にもわからないことなので、会社を信じない方が人生はトクです

「就職ランキング」は信用するな

僕が思っている仮説で、「学生人気企業ランキング上位の会社は、中長期的に潰れる」というものがあります
まあ、潰れるというのは言いすぎにしても、状況が悪くなる会社が多かったりします
学生が企業を選ぶときは、情報が少ないことがほとんどです
その中で、「なんかおしゃれそう」「安定してそう」という、業務とまったく関係のないことに期待して学生が集まるわけです
そういう学生がたくさん応募してくる中で、企業は人を選ばなくてはいけないので、結果、ロクでもない人材が集まります
そのロクでもない人たちが10年後や20年後にその会社の中堅になっていくわけですから、まあ後は推して知るべしですよね

僕が学生だったとき、つまりバブル時代は銀行が人気だったんですが、銀行は没落しました
あと、航空会社も人気でしたが、JALは1回崩壊しました
最近を見ても、IT系企業は人気が出たらその後にガクッと下がる傾向があります
まあ、学生は基本的に騙されやすいわけです

僕はまわりに流されて就活をするということを選ばなかったのですが、それは浪人生活を経験していたことが大きかったと思います
現役で大学に入れなかったので、1年間だけ浪人生活をしていたのですが、そうすると1年間、ほぼ夏休みみたいな生活を過ごすわけです
夏休みの宿題をほとんど最後までやらないのと同じように、浪人時代も受験ギリギリまで勉強をしなくなります

僕も毎日好きなことをしたり友達と遊んだりしていて、ただお金はなかったので、お金がない中でいかに楽しく暮らすかということを工夫していました
その体験が、僕の中に染み込んでいて、今もその延長のような感覚があります
その経験があると、「高校⇒大学⇒就職」というストレートな道にいる安心感というものが抜け落ちます
その感覚がないと、会社を辞めることへの抵抗や、キャリアが途切れることへの不安が出てくるのですが、そんなものは幻想にすぎません

エリートに「勝てる場所」とは?

ここで、僕のこれまでのキャリアについて紹介しておこうと思います
僕は中学生まで、「多分、将来は学者になるだろう」と思っていました
まあ、高校では授業に出ないで寝ていたりしていて、成績も悪かったので、無理だということに気づきましたけどね
その後、大学1年の終わりに友達と会社を作って、3年の夏から4年の夏まで留学をしました

就活のピークは3年の春でしたが、その期間に日本にいなかったので就活はしないまま、日本に戻って慌てて数ヶ月で卒論を書いて卒業をしました
会社を作ったのは、ヒマだったということが一番の理由で、合資会社は資本金1円で作れたのでおもしろそうだと思って起業しました
その当時、ちょうどインターネットが出回っていた頃だったので、ホームページ制作会社からはじめたのです
そのとき一緒に会社を作った人は、その後まともな職に就いてしまいましたが、僕はふわふわと会社をやり続けました

そうして今、僕はIT業界やエンタメ業界あたりで仕事をしているのですが、就活して会社員にならなかったおかげでトクしていることがあります
それは、優秀なエリートの中で切磋琢磨をしなかったということです
普通は逆だと思うでしょうが、どういうことかと言うと、学生時代に僕よりおもしろいことを考えるやつはたくさんいたのですが、彼らは優秀だからちゃんと就職して会社員になったわけです
そうして優秀な人が抜けた中で、それでも「おもしろい」を追究する人はほとんどいなくなってしまって、自動的に僕くらいの人でも社会の中で上のほうのポジションになれてしまったのです

すると、「おもしろい企画をしましょう」となったときに、僕のようなフリーランス的に働いている人は有利なポジションになれます
なぜなら、元々優秀だったやつは、会社に入って揉まれて、おもしろさの角が取れてしまっているからです

会社に入っても自分の感覚を保って、社内フリーランスみたいなポジションになれればいいのですが、まあそんな人はかなりの少数です
だから、僕のキャリアが参考になるかどうかは不明ですが、社会不適合な人だって、エリートと戦える場所はあるということは言えると思います

「長男か次男か」問題

これは余談ですが、浪人時代にお金がない中で、どう楽しい遊びを開発するかを考えていて、おもしろい遊びを開発する人に「長男率が高い」ということがありました

僕の仮説だと、長男は遊び相手がいなくて1人遊びをせざるを得ない時期が長くて、何か1人で遊びはじめて1人で幸せを感じる手段を得るからだと思っています
次男だと、最初から長男が遊びを教えてくれるので、与えられるのを待ってしまいます

あと、僕の父親は北海道出身で放任主義だったので、「親の影響がないということが親の影響だった」ということもあります
北海道に行った人たちは、だいたい田舎の下級武士で長男じゃないことが多くて、屯田兵というかたちで追い出されました
そこで家柄などが関係ない状態でスタートしているので、あまり階級意識がありません
まあ、そんな環境も性格を形成している要因としてあると思います

・人気企業はそのうち下がる
・キャリアの空白を恐れない
・自分の感覚は武器になる

無敵の思考 誰でもトクする人になれるコスパ最強のルール21

ひろゆき(西村博之) 大和書房 2021

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