うまくいっているときにも、あなたは試されている
人は、ものごとがうまくいかないときに、あきらめずに努力を続けられるか、本気でやれるかどうかを試されます
また、それとは逆に、うまくいっているときにも、本気でやっているか、勝って兜の緒を締められるかどうかを、試されているのです
たとえ、今どんなにうまくいっている状態であっても、その状態がずっと続いていくわけではありません
常に目標を持って、成長し続ける、チャレンジャーであり続けられるかどうかが問題です
うまくいっている状態というのは、どうしても気持ちが緩んでしまうことがあります
そして、その気の緩みが、のちの大きな問題を引き起こす火種になってしまうことがあるのです
すなわち、生き方という点でいうと、うまくいっているときにこそ、自分の生き方が試されていると考えたほうがいいのです
「大きな目標を達成した」「もう十分やった」などと考えてしまうと、「バーン・アウトシンドローム(燃え尽き症候群)」といって、急激に意欲が低下し、極端な場合には、その後の生きる意味すら見失ってしまうことがあります
ですから、何か大きな目標を立てたときは、その目標を達成する前に、次の目標まできちんと決めておくことが必要になります
エベレストをめざす登山家が、登頂前にしていること
世界最高峰のエベレストの登頂をめざす登山家には、登る前に、必ずやっておかなければならないことがあるそうです
それは「次の目標を立てること」なのです
エベレストは登山家にとって、最も厳しい山です
山頂までの登山の過程があまりにも苦しいために、山頂に立ったときに、もうこれで思い残すことはない、と思ってしまうことがあるそうです
そのため、なんと山で亡くなる登山家の八割が、下山のときに遭難するのだそうです
ですから、下山のときこそ、必ず生きて帰るという強い意志を持つことが必要になります
生きて帰ったら自分の体験を本にするとか、自分の記録を塗り替えるような次世代の登山家を生み出す学校をつくるとか、まったく新しい冒険に挑戦するなど、生きて帰る理由をきちんと持ってから登らないと、頂上に着いたあと、すぐにバーン・アウトしてしまうのだそうです
ビジネスの分野でいえば、仕事がうまくいっていないときは頑張るのだけれども、うまくいったとき、たとえば会社が上場したときなどに、社長だけでなく、社員のモチベーションまでが、一気に下がってしまうことがあります
それまではみんな頑張ったのに、上場したとき、「夢が実現した!」「これで社会から信頼される企業になった」と思うことで、社員の気持ちがゆるんでしまうことがあります
その結果、苦労して上場したにもかかわらず、あっという間に厳しい状況に追い込まれてしまうことがあるのです
そのように考えると、好景気は会社を伸ばしますが、一方で社員は「このままでいい」と現状に安心してしまって、成長していない可能性があります
けれども不景気になると、会社は厳しい状況になりますが、社員は「このままではいけない」と思うようになり、だれもが自分の働く意義・目的を見直すようになるでしょう
さらに、現状の会社のあり方を根本から再検討し、これからどうあるべきかを真剣に考えて、果敢に挑戦する人も出てくるかもしれません
つまり、不景気は、人が成長するチャンスなのです
結果よりも大切なこと
私たちは、目前の結果が出ると、何となく安心してしまう傾向があります
しかし、人生という時間の中で考えると、「結果が出る・出ない」以上に大切なことがあると思います
それは、結果がどうあれ、人生の中で、ものごとをどう受け止めるかということです
失敗しようが成功しようが、それよりも、置かれた状況の中で「どう生きるか」「その結果から何を学んで、どれだけ成長するか」、このとこが何よりも大切なことだと思います
つまりそれは、失敗してもめげず、成功してもおごらず、学び、成長し続ける生き方です
世の中は「勝ち負け」で、すべてが決まるわけではありません
極端な表現になるかもしれませんが、私は、いわゆる成功も失敗も、その人の人生には関係ないと思っています
常に夢を持って、自分を成長させ続けている人はすべて、成功者なのだと思います
成功とは、他人と比較するものではありません
一生懸命に生きている人たちはみな、自分の人生の成功者なのだと思います
1日1分元気になる法則
福島正伸 中経出版 2010
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