わかりやすさを追求しない

働き方

以前、料理教室で初心者におばあちゃん講師を招いて「おふくろの味」を教える番組が放送されました
筑前煮などの料理をおばあちゃんはすべて目分量で作ります
しかし、料理教室の講師からは、「料理の初心者に目分量はわかりにくい」という意見がでました
最終的に、事前に調味料の量を計り、残りの分量から使用量を割り出し、生徒に伝えることになりました

でも、わかりやすいということは、自分で考えなくてもいいということです
「わかりやすいさ」を求める人は、度を越すと自分で考えることを放棄して依存的になります
細かい情報を丸暗記する教育はマニュアル人間を作ります
企業が欲しがる、自分で考えて行動できる人は、マニュアルに従うことが苦痛です
与えられた情報を自分なりに解釈し、アレンジして応用することが得意だからです

脳研究で知られる池谷裕二氏は、進化した動物ほど、写真に撮ったような精密な記憶力でなく、曖昧で抽象的な記憶力になると述べています

鳥のモズは、「モズのはやにえ」と言われる、捕まえた昆虫を機に生贄のように刺しておく習性があります
しかし、記憶力が精密すぎて、葉が1枚でも散ると同じ木と気づかず、餌にありつけません

曖昧で抽象度が高い人間の脳は葉が1枚散っても、同じ木が認識できます
だから人の表情が変化しても、同一人物だと認識できるのです
記憶で大切なのは正確さではなく、曖昧さです
自然界でも、ビジネスでも、100%同じ状況は起こりません
だから、100%丸暗記するのではなく、普遍的な共通点を見つけ、対処できるものだけが生き残るのです

手取り足取りわかりやすく教えてもらうのは、一見良さそうでも、応用力がつかないのです
有名広告代理店では、新入社員研修を長く行った年と短く行った年では、短い年のほうが最初の失敗は多いものの、柔軟性が高く営業として長続きしました

細かくマニュアル的に教わらないことで、現場で起こる出来事の共通点を無意識に探し、対処することができるのです
抽象度高く物事を捉え、自分で行動できる人がビジネスでも活躍し、人からも好かれます

自分で考える力を鍛えよ!

なぜか好かれる人がやっている100の習慣

藤本梨恵子 明日香出版社 2020

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