13 持って生まれた個性をいかす
<アドラーの言葉> 親からどんな特徴をうけついだかよりも、その特徴を使いこなす方が大事!
遺伝をいいわけにしないで いかすことを考えよう
親からうけついだ特徴のことを「遺伝」と言うね
アドラーは、親から何を遺伝したかはあまり重要ではなく、遺伝したものをどう使うかの方が大切だと言っているよ
遺伝したものを使うのはきみ自身
きみが、その特徴をどういかすかが重要なんだ
うまくいかないことやできないことがあったときに「遺伝だからしょうがない」と言い訳をしたり、親のせいにしたりするのは間違っている
たとえ不利な特徴であっても、きみの考え方や使いかたしだいで、いくらでもいい結果を出すことができる
背が低くてもバレーボールやバスケットボールで活躍する選手はいるし、体が弱くても、しっかり勉強してすばらしい研究をする人だっているよね
遺伝を「できない理由」にするのはやめよう
遺伝は親からのプレゼント
きみの生きる力にしよう
14 目標に対して強い気持ちを持つ
<アドラーの言葉> 「人より優れていたい」という気持ちは、目標達成に向けたエネルギーになる!
「負けたくない」という気持ちが力になる
アドラーは、人より優れていたいという気持ちのことを「優越性の追求」という言葉で表現しているよ
優越性の追求は、生きているかぎり止むことはなくて、これこそが人の心や精神にとって大切だと言っているんだ
そして、目標を達成しようとがんばる力は、この優越性の追求によって生まれると言っているんだよ
これは、人を蹴落として自分が上に立つということではないよ
特定のだれかとくらべて自分の方がすごいと思われたいのではなく、どんな人よりも自分が優れている状態になりたいということだね
大リーグのイチロー選手も、打つ・守る・走るの3つが最高にできる人がプロ野球選手であり、自分はそういう選手でありたいと言っている
これは、目標に対する強い気持ちの表れなんだね
優越性を求める気持ちは、失わずに持っておこう
15 「人生は楽しい」と思ったらそうなる
<アドラーの言葉> 人生の意味を決めるのは自分自身だ!
「楽しい世界」は自分で作ることができる
物事に意味を見出すというのは、その物事と自分の関係を考えるということ
たとえば、校庭に生えている木は、人間にとっては「木という植物」だけど、鳥にとっては「羽を休ませる巣」かもしれない
そう考えると、「人にとっての木」と「鳥にとっての木」は、意味が違うということになるんだ
アドラーは、人はどんな物事にも意味を見つける、意味を離れて生きることはできないと言っているんだ
たとえば、朝起きたら雨が降っていたとしよう
「雨でジトジトしてイヤな日だな」と思う人もいれば、「雨で花が水をたくさん吸収できるからいい日だな」と思う人もいる
「イヤな日」「いい日」という意味づけは、人それぞれ違うんだね
つまり、人生の意味、世界の意味を決めるのはきみ自身なんだ
「幸せな人生」「楽しい人生」を生きようと思えば、きみの人生はそうなるんだよ
16 自信を持てばもっとがんばれる
<アドラーの言葉> 1つのことに自信が持てたら、ほかのこともやる気が起きる!
得意だからできる できるから次のこともやりたくなる
アドラーは、得意なことや好きなことがあれば、その気持ちが何かやろうとするエネルギーになると言っている
イヤなことや苦手なことをするのには、勇気が必要だ
その勇気を生むのは、得意なことや好きなことをやり遂げた達成感なんだ
達成感を得たら自身がついて勇気がわいてくる
だから、勉強でも、得意なことや好きなことからはじめるといいんだね
たとえば、算数は苦手だけど、国語が好きだとしたら、算数の文章題の内容を国語だと思って読めばいいんじゃないかな
苦手意識をすてて、得意なものに代えてみることでわかりやすくなるよね
そうすると、今まで解けなかった問題の手がかりがつかめるようになるよ
きみの得意なことは何だろう
その、得意なことを苦手なことに応用してみたら、できるようになるかもしれないよ
17 才能を伸ばす環境は自分で選べる
<アドラーの言葉> 実力を伸ばす環境があればだれでも成長できる!
自分で「自分がいたい場所」を決める
有名な音楽家のモーツァルトは、親が音楽に興味を持つような環境を作って勇気づけたおかげで、音楽に親しんで能力を高めていったとアドラーは言っているよ
才能があるかないかは関係ない
才能がないからできないと決めつける必要はないんだ
アドラーは、ずっと数学ができない子どもだったけど、あるとき、先生も解けなかった問題が解けたんだ
それ以後、数学に興味を持って勉強しはじめ、学校で一番数学ができるようになったという
アドラーは、もともと数学の才能がなかったとしても、きっかけがあれば、どんな人でもできるようになると気づいたんだね
きみの力を伸ばすために、どんなきっかけや環境が必要か
こうしたいという希望があれば、親に相談して決めることができるんだ
行きたい学校も、きみが選んでいいんだよ
18 ごほうびを期待しないでやる
<アドラーの言葉> やるべきことがあったら、ほかの人がやるかどうかは関係なく、まず自分からはじめる!
自分がやりたいことだからやる それが大切
アドラーは、だれかがやらなくてはならないことがあったとしたら、ほかの人がやるかやらないかを考えずに、まず自分が行動すべきだと言っているんだよ
ほかの人がやるかどうかは、その人の問題であって、きみがどうこうできることではないよね
どんなにきみが「やったほうがいいよ」と言っても、本人にやる気がなければどうしようもない
だから、ほかの人の問題に首をつっこむ前に、きみが「やる!」と決めて行動することが大切なんだ
どんなことも、選んで決めるのは自分自身だからね
だれかにほめてほしいからとか、ごほうびがほしいからではなく、自分がやりたいからやる、やると決めたからやる
決めたことがちゃんとできたら、自分を好きになれるよ
それが最大のごほうびだ
自分で決められる人になる! 超訳こども「アドラーの言葉」
齋藤孝 KADOKAWA 2016