仕事が奪われる前にすべきこと
これから先、日本の失業率はものすごく上がっていくことでしょう
そして、スキルのない人が苦労する時代になっていくと思います
・スキルを身に着けてお金を稼いで幸せを目指すか ・お金がなくても工夫して幸せを目指すか
その二択に分かれていくのです
どちらがいいかという話ではなく、どちらであっても「考え方」次第で軸をちゃんと決めて自分を正当化することが大事です
つまり、「物理的な自分」と「頭の中の自分」を一致させるということです
それができないと、お金の有無にかかわらず、不幸な人生が待っていることになります
今、人間の仕事がコンピュータに置き換わるかもしれないということが叫ばれています
そこで必要なスキルがいったい何なのか
それはこれから先、変わり続けていくと思うので、「〇〇をしなさい」ということは一概に言えません
けれど、ひとつだけやっておくべきことがあるので、それについて説明しようと思います
スキルを手に入れるときに大事なのは、スキルそのものよりも、そのスキルを手に入れる能力のほうです
英語が話せることやプログラミングができることが大事なのではなく、英会話やプログラミングの体系的な知識をどのように手に入れるかがわかることのほうが大事なのです
つまり、「スキルをえるためのスキル」です
ひとつのスキルがダメになったときに、次に別のスキルを素早く身につけられるかどうかということです
受験勉強は、受験勉強そのもので覚えたことはあまり役には立っていないと思うのですが、役に立たないものを無理に覚える能力というのは重要です
それなので、僕は受験勉強については賛成派です
あの当時は、「こんなことをやって何の意味があるんだ?」と思っていましたがね
「意味がないことをやる」ということが重要であるというのに気づくのには、少し時間がかかるものです
僕が「学歴」を見る理由
受験勉強をちゃんとやっていると、勉強する時間さえあれば、普通の人が受かるペーパーテストはほぼ受かるだろうという自信がつきます
参考書を見ながらやったら、基本は誰でも受かるわけです
そうすると、その参考書に書いてある内容はいつでも身につけることができます
参考書に書いてあることが理解できるスキルさえ手に入れれば、あとは万能ということです
だから僕はわりと人の「学歴」を見ます
学歴が低いからダメということではなく、その背景として受験勉強をやってくれていることは、ある程度、その人の担保になります
偏差値がそこそこの学校に行っている人であれば、少なくとも参考書を理解する能力を持っている証明にはなるわけです
そういう人は、「理不尽耐性」も高いですしね
ただ、理不尽耐性は低いけれど、頭がいいから偏差値が高いという人も一定数います
それに、大学で判断をすると幅が広い気がするので、高校の偏差値のほうが参考になるかもしれません
頭がよくても経済的な理由で大学に行けない人もいますしね
都会だと、お金をかけて塾に行かせてもらい、それでいい高校へ入ったという人もいるとは思うのですが、地方だとあまりそういうことがありません
経験上、地方出身で偏差値のいい高校に通っていた人は、わりと地頭がいい率が高いと思います
ただ、必ずしも学歴だけで判断するということではなく、たとえば履歴書でいうと、「文体」というのも見るべきポイントです
文章を読んでいて、なんとなく「おもしろそうな人」というのが大事です
一緒に働くのは、おもしろい人じゃないとつらいですからね
僕のいう「おもしろい」というのは、お笑いの能力ではなくて、主観的なおもしろさです
なので、相性があることなので、一概に「全員にとっておもしろい人」というわけではありません
履歴書は自分を説明するために書くので、「相手がこういうことに興味を持つだろう
という想定をして書いている人と、とりあえずできることを並べて書く人では、頭のよさがそこでハッキリと明らかになってしまいますよね
ここで僕が説明しているのは、別に就活生や学生に向けているわけではなく、社会人全員にも当てはまる話です
営業や会議も、広く見ると自分の「プレゼン」なのですから、例として履歴書というのがわかりやすいと思って話を進めます
できることを履歴書にとりあえず並べて書く人というのは転職率が高いです
資格をたくさん持っていると、たぶん優秀な人だとは思うのですが、相手の求めるものを出すという「広義のコミュニケーション能力」がうまくないわけです
結局、会社で嫌われたりして、次の職場に移ってしまうんですよね
なので、なまじ資格が多い人を僕は警戒します
たとえば、最初に入った会社で超優秀だったりすると、資格をとるヒマなんてなくて、ずっと仕事をするはずです
資格をとっている時点で、重要な仕事をしていなかったり、社内で仕事ができない人という印象があるのではないかと疑いたくなるのです
エンジニア系の資格はたくさんありますが、優秀なエンジニアでそういった資格を持っている人はいません
自分が無能だと言っているのと同じですからね
日本はこれからどうなるのか
最後に「健康」について触れておこうと思います
今、議論されているベーシックインカムは、医療費無制限ではありません
共産主義であるキューバは、「医療費は国が全部出す」ということになっているようです
ただ、日本では意識を失った老人でも、とりあえず胃瘻のようなことをして、ずっと生かし続けるのですが、そういうことはやらないみたいです
それをやっていると国がもたないと思うんですよね
そうすると、「自分の健康を自分で気遣って病気にならない人」と「何も考えずに病気になって人生終了になってしまう人」に分かれる構造のほうが、社会は発展するのではないかと思います
たとえば、65歳までだったら医療費はタダでいいですが、お酒が好きで浴びるように毎日飲み続けて体がボロボロな人に66歳になってから国が医療を与えても、もうその人は社会に何のリターンも返してくれないでしょう
それまでの人生で貯金があるのであればそのお金で治療して、貯金がないのであれば自宅でなんとか工夫してください、というシステムのほうが明確でいいと思います
ちなみに、アメリカの医療費は非常に高いので、老人への医療に対する考え方がまったく違います
病気になったら病気を治すために病院に行って、それが治ったら家に帰る、という効率いい考え方です
日本であれば、なんとなく体の調子が悪くても病院に行って、そこでお金を使って、そのうち入院して病院の中で死ぬという割合が高いと思います
昔のように、先進国と発展途上国の差がとても開いていると、先進国だけが莫大な利益をあげて、社会保障にたくさんのお金を使うことが可能だったと思うのですが、たぶんそんなことは無理になっています
その点からいっても、「いかにお金をかけずに病気にならないように生活するか」ということがこれからのキーワードになってきますし、それは個人レベルの話だけでなく、日本が破綻する可能性にも備えなくていけないと僕は思います
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