「できるかできないか」ではなく「どうしたらできるか」

考え方

「できるかできないか」ではなく「どうしたらできるか」

起業家セミナーをやっていると、受講者からは成功者の話ばかりでなく、失敗者の話も聞きたいという要望をよく聞く

そんな時私は、こう答える

「失敗者の話を聞いてどうするんですか。何も得るものはありませんよ。失敗者ではなく成功者の話を聞くべきです。成功者も失敗者もみんな失敗ばかりしている。失敗者はそんな中で諦めてしまった人にすぎないんです。では、成功者がなぜ失敗してきたにもかかわらず、諦めずにやってこれたのか、そこを聞き出すことが最も大切なことですよ

事業を始める前に、その事業がうまくいくかどうかを確実に判断することは、はたしてできるだろうか
その判断基準が自分の過去の体験とそれまでに得た知識であるとするならば、その判断は間違ったものになる確率は極めて高い
それは、私たちが今持っている知識や経験はまったくわずかなものにすぎないからだ
それこそ100年後の人から見れば、現在の私たちの持っている知識などは全然大したものではないだろう
そのわずかな知識で何が正しいか、どうすればうまくいくかを判断したとしても、まちがったものになる確率のほうが高いに決まっている

できない人は”できるかできないか”でいつも考え、できないと判断すればやらないという選択をする
できる人はやるかやらないかを初めに考え、やると決めれば後は”どうしたらできるか”だけを考える

やると決めたあとでできるかできないかを考えるのは、本末転倒の話である
“できるかできないか”は、やってみなければわからない
やってみる前にできないと決めるのは、ほとんどの場合は早合点
後でやり遂げた人を見て、本当は自分がやろうとしていたことだと悔しがったところで何も始まらない
大切なことは”どうしたらできるか”だけを考え続けることである
事業を成功に導くにはどうしたらいいのか、起業家が考えることはこれだけでいい

やると決めたら迷わない

成功させる方法は100万通りある

起業家になったばかりの方とこんな会話をしたことがある

「福島さん、この商品を売ろうと思っていたんですが、何をやってもうまくいかないんです」
「そうですか。それで何をやったんですか?」
「まずパンフレットをつくりました。それから小さい枠ですが広告を打ちました。知り合いに何人も電話をして話しましたし、買ってくれそうな企業にも飛び込みで売り込んでみました。でもダメでした。」
「ほかには、何をなさったんですか」
「ほかにはありません。これでやったことは全部です」
「マスコミに情報を流してみてはどうでしょう。新しい商品なら記事として取り上げてくれるかもしれませんよ」
「え、それはまだやっていません」
「それから、情報誌には無料で情報を載せてくれるコーナーがありますから、そこに情報を載せてもらってはどうでしょう」
「そうですよね。それもやってみます」
「それから、直接顧客になりそうなところに営業するのではなくて、そういったところに出入りしている業者に連絡を取って、サンプル品として無料で配布してもらってはどうでしょう」
「そんなことできるんですか?」
「わかりません。でもやってみるだけの価値はあるかもしれませんよ。ほかに業界団体の中で商品説明会を開いてもらってはどうでしょう。よい商品なら取り扱いたいという会社が出てくるかもしれません。ただ、これもやってみなければわかりませんが」
「なぜそんなことまで知っているんですか?」
「いえ、いえ、すべて今思いついたことを言っているだけです」

以前、ボールペンのペンの先にライトがつく商品を開発し、販売しようとした起業家がいた
ビジネスマンがセミナーに参加した時に役に立つのではないかと、企業に売り込みをかけたがどうやっても売れなかった
在庫で持っていても仕方がないと、会う人、会う人に配って歩いた
ある日タクシーに乗った時に、運転手に一つプレゼントしたところ、とても喜んでくれた
しばらくして、その運転手が勤めていたタクシー会社から、2000本の注文が来たという

タクシーの中では、運転手はその運転記録をつけるたびに、室内のライトをつけたり消したりしなければならず、そのわずかな作業がとても面倒なことだった
その面倒なことを解決したのが、この商品だったのである

ある目的を掲げ、綿密な調査をして計画を立てたとする
そしてさあ実行という段になって、なかなか計画通りにいかず、終いにこれはうまくいかないといって投げ出す人がいる
こういう人は何をやっても決してうまくいくことはないだろう

なぜなら、一つの手段でうまくいかない時に、別な手段を考えずに、目的までも放棄してしまうからだ
手段と目的を混同してしまっている

どんな目的であっても、そこへ至る道のりは100万通りある
たとえ一つや二つの道のりが険しく失敗したとしても他にいくつもの別の道のりを見つけることができる
あらかじめ考えた道のりが予想以上に厳しいものであったからといって、諦めてしまう必要はいっさいない
さらに確実な道のりがあれば、いつでもそちらへ移ればいいのだ
現実に始めたら手段などにはこだわらずに、目的にこだわって諦めないことが大切だ

考えた時間に比例して知恵が出る

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