優秀な人材は「夢」で集める
米国の優秀な学生は、大企業よりも将来性のあるベンチャー企業を探している
今の会社の規模がどれほど小さくとも、まだ採用条件がどれほど劣悪であったとしても、共感できる夢があり、その達成を本気で考えている人々に満たされている企業が、彼らの理想企業なのだ
そこには安定とか保証といったものはないかもしれない
しかし、彼らは企業に何かを求めるのではなく、自ら成長企業を創り出すために就職するのである
事業をうまく進めるためには、優秀なスタッフは欠かせない
よく事業を始めたばかりで優秀なスタッフが集まらないと嘆く経営者がいる
そういう経営者に限って、自分が考えた事業をうまく進めるために人を使いたいという考えで人材を求めている
しかし、使われるために入社する優秀な人などいるわけがない
真に優秀な人材とは、企業のビジョンとポリシーに共感して入社してくる人々のことをいう
彼らは使われる人ではなく、同じ目的を達成しようというパートナーである
ともに事業を拡大し、事業を成功に導く協同者なのだ
待遇で入社してくる人に働かない人はいても、共感で入社してくる人に働かない人はいない
夢のない会社だから人が集まらないのであって、中小企業であるかどうかは関係ない
優秀な人材とは共感者
自分の姿で人を育てる
福岡でラーメンチェーンを展開する博多金龍は、創業わずか三年余りで九州全土に60以上の店舗をかまえている
社員・スタッフは1000名を超えた
この会社には、ビジネス経験のないような新人にもかかわらずアッという間に店長になるほど成長する人材もいる
もちろん組織的な教育制度があるわけではなく、彼らは自分のちからで成長しているのである
舩津泰彦社長はいつも社員・スタッフに夢を語っている
そして、それを自らが先頭に立ってどんどん実現していく
初めは半信半疑だった社員・スタッフも社長の行動に影響を受けて、次第にどんなことでもできるんだという気持ちになってくる
みんなが社長に憧れ、そして自分から行動するようになる
勝手に人材が育っていくのである
舩津社長はこう語る
「どんな人間だって、成長したいと思っているんです。自分が見本になって行動すればいいだけです」
人が最も影響を受けるのが他人の行動だ
私たちは他人の勇気を見ることによって自分も勇気を持つことができるようになる
人を育てるために最も必要なことは、まず自らが見本となって行動するとともに、どんな部下でも信頼して支援することである
仕事はできるのが当たり前ではなく、できないのが当たり前なのだ
できないことを叱るのではなく、できたことを誉めるようにしなければならない
当然、部下を指導する上司自らが、会社のビジョンとポリシーを本気で達成しようという実践者でなければならない
その姿に部下が共感するのである
自らの姿勢で示し、信頼して支援する
アントレプレナーになろう!ゼロから始める独立・企業のバイブル
福島正伸 ダイヤモンド社 1999