効果:憤り/やるせなさ ーティルブルグ大学 ランマーらの研究ー
そもそも権力者は共感に欠ける
上の立場にいる人が自分の意見になかなか耳を傾けてくれない
そういったストレスフルな経験は少なからず誰にでもあるかと思います
悲しいかなというべきか、面白いというべきか、「人は権力を得ると共感に欠ける傾向がある」ことを示したティルブルグ大学のランマーらの権力と共感に関する研究があります
実験では、61人の大学生を、次の2つのグループに分けました
グループ1:自分が権力をもったときの経験を思い出してから課題に臨むグループ グループ2:権力のなさを痛感した経験をしたときを思い出してから課題に臨むグループ
さらにグループ1、グループ2双方の半分の被験者には、サイコロを振ってもらい、出た目に応じて報酬が変わるようにしました
そして、出た目は各々が自主的に報告する形にしました
つまり、嘘をつこうと思えば簡単につける状態にしたわけです
一方、もう半分の被験者にはサイコロを振らせず、「交通費を多く請求することは倫理的に許せるか、許せないか?」のみを尋ねました
権力者は、自らは嘘をつき、嘘をつく人は許さない
すると、サイコロを振って出た目に応じて報酬が変わるようにした半分の被験者では、グループ1の権力感を抱いた状態の被験者のほうが、グループ2の非権力感を抱いた状態の被験者よりも、嘘の報告をする確率が高いという結果が明らかになりました
そして、交通費の過剰請求が許せるか許せないか尋ねられたもう半分の被験者は、グループ1のほうがグループ2よりも厳しい判断をしたのです
この結果は、人は権威性をもつと共感力に欠け、自分の行いについては寛容になる一方、他人の行いに対して厳しくなることを示しています
実験の被験者の大学生たちが「権力をもったときを思い出す」だけで、このような結果が出たのですから、日ごろから権威をもつ立場にいる人は、さらに自らの存在を大きく考えている可能性が高いといえます
政治家や組織の上層部が聞く耳をもたないのは、そもそも共感力に乏しいからとも言えるわけです
ですから、権力者の言動に「どうしてわかってくれないんだ」といったストレスを抱えるのではなく、権力者はそもそも共感力に欠けると割り切り、違うところに労力を注いだ方が賢明と言えそうです
上層部の言動に振り回されるのではなく、上層部とはそういうものだと割り切り、違うところに労力を注ぐ
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