人間関係に悩む薬剤師
薬剤師は他の職業と比べると転職する人が多い傾向にあるそうです
国家資格ありきの仕事であることが大きな要因なのでしょう
かくいう私も
新卒で入社した会社に最終的に20年勤続することとなりましたが
途中で何度も「辞めたい」と思いましたし
実際に「退職願」を提出したこともありました
(その時は今振り返ればありがたいことに引き留めていただき退職には至りませんでした)
私が退職を考えた理由はそうではありませんでしたが
どんな仕事でも、仕事を辞めたいと思う理由として
「人間関係への不満」があります
数々の退職していった薬剤師の退職理由にも多い理由でした
薬局はそもそも小さい世界であり
同じメンバーで毎日狭い空間で過ごすのですから
それだけ人間関係が与える影響は大きいのは確かです
それぞれの職場によって人も違えば
悩みも違うでしょう
また会社全体の社風が人間関係の悪化や
風通しの悪さを引き起こしていることもあるでしょう
しかし人間関係が理由で何度も転職する場合には
自分の中に考え方の問題が隠れている可能性があります
そうだとしたら 根本的な原因を見つめ直す必要があるでしょう
他人は思い通りにならない
「人間関係をうまくやりたい」と願っている薬剤師は多いでしょう
しかしそれは言い換えると
「他人に自分の思うようになってほしい」ということを要求しているのではないか?と
冷静になって考えてみましょう
自分の思うようになることなど そうそうありません
特に他人というのは
この世で一番思い通りにならない存在かもしれません
なぜなら
自分と同じく 他の人たちも
「こうしたい」「こうありたい」「こうあってほしい」という
欲望を持っているからです
自分の「こうしたい」と 他人の「こうしたい」が
一致することは ほぼないでしょう
すると当然 その欲望は対立します
結果あちこちでいさかいや軋轢が生じることになります
これが人と人がうまくいかない単純明快な理由でしょう
しかし世の中にはいさかいや軋轢を生じさせず
折り合いをつけてうまくやっているように見受けられる人もいます
一体彼らはどうしてそのような人間関係を構築できているのでしょう
人とうまくやっていくには
「他人は自分の思い通りにはならない」ということを
よく理解する必要があります
いい意味で「あきらめる」必要があるのです
そうすると相手に対する期待度が下がります
不満に思うことがあっても「まぁ いいや」「仕方ない」で
済ませることができるようになります
しかし心の底から自然にそのように考えることができるようになるには
努力が必要です
その域に達するまでに達していない人にはわかり得ない
努力の日々があったと言って過言ではないでしょう
彼らだって苦労をしてきたのです
いつも他人と争っていかなければならない
対立ばかりしていなければならない・・・
それは大変なストレスです
そこでお互いの欲望を調節する術を身に着けるようになったのです
その一つに「50/50 フィフティ・フィフティ」という考え方があります
あるいは「公平」や「平等」も同じような考え方です
お互いの利益のためにどうやったら協力できるか?妥協点はどこか?
関係を模索することもあります
このようにして「奪う」のではなく「与える」という感覚が身につけば
人間関係は楽になっていきます
まずは自分の役割を果たす
人間関係に悩む人の多くは 程度の問題はあっても
自分へのこだわりが強く 他人を大切にするのが苦手な傾向がありそうです
当然人づきあいも悪くなるでしょう
人にかかわりたくてもかかわれないというジレンマに
いつも苦しむことになってしまいます
そんな悩みを持つ人は
まずは自分の役割を果たしましょう
誰とどううまくやるかばかりに関心がいってしまってはいけません
職場であれ家庭であれ そこで何らかの役割(仕事)を果たしてこそ
周囲から認められるのです
人間関係で大事なのは テクニックではなく
「信頼できる人」になること
約束や義務をきちんと果たしていれば
「あの人は信頼のおける人だ」となります
いくら巧みな会話術や交渉術を持っている人でも
やるべきことをきちんと果たしていない人は
相手にされなくなるものです
人間関係で大事なことは
上っ面のテクニックなどではなく
このような基本的信頼を得ることなのです
そしてこれらを地道に貫いてるかどうかが
よい人間関係を構築するための「鍵」なのです
|
こころがホッとする考え方
すがのたいぞう PHP研究所 2018