信頼されたとき、人は信頼に応えたいと努力する

人生

信頼すれば、人は動く

近年、私は、人をやる気にさせるリーダーを育成するための講座も行っています
そこには、部下や従業員との関係に悩む、さまざまな分野のリーダーがたくさん集まってくださいます
私はそこで、リーダーとして部下やスタッフと信頼関係をつくるための、人間関係における大切なノウハウ・姿勢をお伝えしています

そこでは、いろいろな質問を受けます
「どうしても、言うことを聞かない困った人がいる」
「やる気のない社員がいて、職場の雰囲気を暗くしている」
「理屈ばかりで、行動が伴っていないスタッフがいる」
「価値観も違うし、こちらの言っていることがわからない若いスタッフとは、どのようにかかわっていったらいいのか」

これらの質問に対する私の答えは、極めてシンプルです
それは「その社員を信頼する勇気を持つこと」です

人と人とのコミュニケーションにおいて、言葉によって行われているのは「情報の共有」だけで、それ以外のものは、心と心でやり取りが行われています

たとえば接客業の場合、お客さまに笑顔で挨拶することは大切なことですが、笑顔にも、心からの笑顔と表面上の笑顔があります
「お会いできてうれしいです」という気持ちの笑顔を見せなければ、お客さまには伝わりません
「面倒だなあ」と思いながら、無理をして笑顔になったとしても「面倒だなあ」という心の中が伝わってしまうのです
人間関係においては、発している言葉よりも、言葉の裏にある心が伝わってしまうものなのです

上司と部下の関係においても、それは同じです
上司が部下に対して「こいつは困った部下だな」と思っていると、部下は「上司は、自分を信頼していない」ということを感じてしまうために、もう話を聞かなくなってしまいます
人は無意識でいると、相手を自分の思い通りにしようとして、相手を受け入れるのではなく、批判や否定をしてしまう傾向があるのです

では、どうしたらいいのでしょうか
やはり部下は、自分を信頼して、受け入れてくれている上司の話を聞きたいものです
つまり、上司が部下を信頼しないと、部下も上司を信頼せず、話を聞こうとしないのです

部下の問題点や欠点を指摘することは、それ自体が間違っていることではありません
ただ、それ以前に、信頼関係が出来上がっているかどうかによって、全く効果が違ってしまうということです

人は、信頼されていないと感じると、自分から考えて行動しようというふうには、なかなかなれないのです
そういった意味で、リーダーや上司になる人は、人を信頼して、受け入れる勇気が必要になるのです

相手を受け入れる勇気を持つ

思い通りにならない他人を受け入れるということは、非常に勇気がいることかもしれません
けれども、その思い通りにならない人を受け入れる勇気を持つことが、信頼関係をつくるための前提条件なのです
そもそも人間関係とは、他人がどうかではなく、自分自身がどこまで人を受け入れることができるかという勇気が問われるものです

「考え方としてはわかるけれど、うちの会社は、そんな悠長なことを言っていられる状況ではない。できない部下を信頼して仕事をやらせるほど、時間的余裕はないんだよ」とおっしゃる方もいるかもしれません
しかし、信頼関係がないまま、無理矢理仕事をさせようとすればするほど、部下は追い詰められ、やる気を失って、会社の状況はより悪くなっていくでしょう
これは会社が置かれている状況の問題ではなく、リーダーの心のありよう問題、つまり、そう思うか思わないかという問題なのです

相手を受け入れる勇気を持つということは、たとえば「今日も会社へ来てくれてありがとう」と思いながら、朝のあいさつをするかしないか、コピーを頼むときに、感謝の気持ちを持ちながら頼むか頼まないか、という心のあり方の違いなのです

相手を受け入れる勇気があれば、注意をしたり、教えたりしても、みんなやる気になって行動してくれるはずです
すると、時間的にも、内容的にも、よりよい結果が出るようになります
つまり、相手を受け入れることで、相手は必ず、それに応えた行動をするようになるのです


1日1分元気になる法則

福島正伸 中経出版 2010

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