見返りを求める人は、選ばれない。見返りを求めない人が、選ばれる。
仕事を頼むと、「それをすると、どういうメリットがありますか」と最初に聞いてくる人がいます。
口に出さなくても、それが気になるタイプは、必ず相手にバレてしまいます。
仕事には、儲からない仕事もあれば、手間のかかる仕事もあります。
それをしたからといって、それほど評価されない、感謝されない、ほめてもらえない仕事もあります。
選ばれない人は、そういう仕事には乗り気でないので、ニコニコ引き受けてくれません。
選ばれる人は、二つ返事で引き受けます。
「すぐする」というより、仕事のメリットを一々確認しないのです。
「頼みたい仕事があるんだけど」と言っただけで、「いいですよ」と答えるのです。
選ばれない人は、どんな仕事か聞いてから、「やりますよ」と言います。
これでは選ばれなくなるのです。
あらゆる仕事において、自分も相手を選び、相手も自分を選びます。
自分が相手を選ばなければ、相手も自分を選んでくれません。
たとえば、私は本を書く側の人間です。
編集者に私を選んでもらわなければ、本をつくることはできません。
書き手も編集者を選びます。
両者が選び合う関係になっているのです。
選ぶ時は、「人」を基準に置くか、「企画」を基準に置くかで分かれます。
私は「人」を基準に置いています。
まず、「この編集者と仕事をしよう」と決めて、それから企画を考えます。
両者が同じ価値軸なら、お互いに選び合います。
「面白い企画だったらする」となると、人と人とのつき合いではなくなるのです。
雑誌や新聞の記者にも、
①記事にすることを決めてから来るタイプ
②面白かったら記事にするタイプ
の2通りがいます。
「面白かったら記事にする」という姿勢では、取材相手から選んでもらえません。
仕事相手に選んでもらいたければ、「する」ことは決めておいて、それから何をするかを詰めていきます。
たとえそれが会社でボツになっても、次のプランBの企画をつくれる人が選ばれる人です。
選ばれる人は、自分で振り分けることはしません。
選ばない人が、選ばれます。
メリットがあるかないか、デメリットが大きいか小さいかというマトリクスを置いてから判断しようとする人は、自分が先に選んでいます。
より好みをしている人は、選ばれないのです。
選ばれる人、選ばれない人 1ミリの差が、決定的な差を生む。
中谷彰宏 ぱる出版 2016
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