今日することを減らす人は、選ばれない。今日することを増やす人が、選ばれる。
選ばれない人は、「忙しいので仕事を減らしてくれ」と言います。
よく「ただでさえ手いっぱいなのに、さらに上司が仕事をたくさんまわしてくる。どうしたらいいでしょうか」と相談されることがあります。
私は「大丈夫。そのうち仕事をもらえなくなるから。上司だって、頼みたい人に頼んで、頼みたくない人には頼まないから」とアドバイスします。
選ばれない人は、「いかに自分の仕事を減らすか」と考えます。
選ばれる人は、「自分の仕事をどうしたら増やせるか」と考えます。
「今の仕事だけでも手いっぱいなのに、人も増やしてくれないし、なんとかしてほしい。どうしたら仕事を減らすことができますか」という相談は、「心配しなくても、あと3ヶ月以内にあなたの仕事はまったくなくなるでしょう」と答えられるのです。
やがてはリストラされ、仕事がゼロという最も理想的な展開になります。
これは、役者でもよくあります。
「セリフが多い」と文句を言う人がいるのです。
普通、役者は「どうしたらセリフを1個でも増やせるか」「自分の出番をどうしたら増やせるか」と考えます。
「出番が多くめんどくさい」と言う人は、その空気が伝わります。
その人の出番は、撮影しながらどんどん減ります。
撮影時は、台本もキャスティングでもでき上がっています。
ところが、頑張っている人は出番が増えていくのです。
「この人をもっと生かしたい、前面に出したい」ということで、撮影中に出番が増えていく人と、撮影中に出番が減っていく人の2通りに分かれます。
出番が減るというのは、最終的にはカットされます。
「このシーンはいらなくなったのでカットになりました」と、完成した時に出番が減らされたことがわかるのです。
選ばれない人は、それでも喜んで「もっと大きい役をくれ」と言います。
「出番を減らしてくれ」と言っている人が、「大きい役をくれ。次のオーディションに通りたい」と言うのはヘンです。
私は役者の仕事をしている時に、いろいろアイデアを提案します。
1つでも話に深みができたり、今までなかったシーンが生まれたりすることがうれしいので、ムダになる覚悟でどんどん提案します。
仕事を増やすことが、結果として働きがいにつながるのです。
選ばれる人、選ばれない人。1ミリの差が決定的な差を生む
中谷彰宏 ぱる出版 2015
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