家事の趣味を持つ人が、選ばれる
掃除・洗濯・炊事・育児など、家事の中で何か1つ趣味を持っていれば、それだけで選ばれる人になります。
選ばれる人になるために、資格を取ろうとする人は大ぜいいます。
就職や昇進に有利な資格は、みんな何かしら取っています。
結局、レッドオーシャンになって、差がつかないのです。
差がつくのは、家事の能力です。
女性に限らず、男性に家事の能力があると、「意外にそんな能力があるんだ」と、見直されます。
たとえば、高橋英樹さんの趣味は皿洗いです。
「ライバルは食洗器」と言っていました。
髙橋英樹さんは、『桃太郎侍』や『国盗り物語』の信長の大俳優です。
家でふんぞり返っていても、誰も文句は言いません。
その高橋英樹さんが、家の台所で、あの大きな体で皿を洗っているのはカッコいいのです。
料理をつくるのは好きでも、あと片づけは苦手な人が多いのです。
皿洗いなら、まだ食洗器があります。
洗濯は好きでも、畳むのはめんどうです。
機械化もされていません。
食事なら、料理より、あと片づけと皿洗いが趣味の人が選ばれます。
洗濯なら、洗うより干すこと、干すより畳むことが趣味の人は、それだけで選ばれる人になれるのです。
私の実家は染物屋で、浴衣・手ぬぐい・法被・おむつを扱っていました。
必然的に畳む作業が多くなります。
自分は染物屋の血だなと気づけるのは、慰安旅行で旅館に泊まった時です。
私の浴衣の畳み方は、はんぱではなくきれいです。
実家は、昼は染物屋、夜はスナックをしていました。
私は、テーブルをきれいに片づけて拭くという操作が、見事にプロフェッショナルです。
きれいにテーブルを拭ける人、付近の使い方のうまい人、浴衣やてぬぐいの畳み方のうまい人、荷物のパッキングがうまい人には仕事を頼みたくなります。
時々、スーツケースの上に乗って、ギューギューに押し込んでいる人がいます。
そんなに量はないはずなのに、何かパッキングがいまいちです。
その人はダンドリが悪そうで、仕事を頼みたいと思わなくなるのです。
家事の仕方を見ていると、その人の仕事の仕方がわかります。
仕事が忙しいからと、家事をおろそかにしている人は、ますます選ばれなくなります。
家事を通して、仕事のダンドリをレベルアップしていくことができる人が、選ばれるのです。
選ばれる人、選ばれない人。1ミリの差が決定的な差を生む。
中谷彰宏 ぱる出版 2016
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