働く目的は？ ～３人のレンガ職人～

世界中を旅する旅人が　ある町外れの一本道を歩いていると
一人の男が　道の脇で難しい顔をしてレンガを積んでいました

旅人はその男に　「ここでいったい何をしているのですか？」
と尋ねました

「何って　見ればわかるだろう　レンガ積みさ
朝から晩まで　俺はここでレンガを積まなきゃいけないのさ
あんたにはわからないだろうけど　
暑い日も寒い日も　風の強い日も　一日中レンガ積みさ
腰は痛いし　手はこのとおりさ」

男は　ひび割れて汚れた両手を　差し出して見せました

「なんで　こんなことばかりしなければならないのか
まったくついてないよ」
　　
旅人は　男に慰めの言葉を残して　旅を続けました

もう少し歩くと　また　一生懸命レンガを積んでいる男に出会いました
が･･･

先ほどの男ほどは　辛そうには見えませんでした

旅人は　また　尋ねました
「ここでいったい何をしているのですか？」
「俺はね　ここで大きな壁を作っているんだ　これが俺の仕事でね」

「それは　大変なお仕事ですね」
旅人はいたわりの言葉をかけました

「なんてことはないよ　この仕事のおかげで俺は　家族を養っていけるんだ
ここでは　仕事を見つけるのが大変なんだ
俺なんて　こうやって仕事があるから　
大変だなんていっていたら　バチがあたるよ」

旅人は　男に励ましの言葉を残して　また旅を続けました

するとまた　別のレンガを積んでいる男に会いました
が・・・

今までの男とは　全く様子が違いました
その男は　活き活きと楽しそうに　レンガを積んでいました

「ここでいったい何をしているのですか？」
旅人は興味深く尋ねました

「ああ　俺のことかい？
俺は　歴史に残る偉大な　大聖堂を造っているんだ！」　