他人は、自分を成長させてくれる存在
何でもとことん一生懸命やっていくと、知識や経験が蓄積されて、できることが増えていき、視野もどんどん広くなっていきます
それはとても楽しいことです
そして、頑張れば頑張るほど、もっと成長できるということがわかるようになるので、さらに努力をしたくなっていきます
他人の長所というのは、何もしないでいるときは、気にも留めなかったり、単純にうらやましいだけだったりします
しかし、自分が成長することの楽しさがわかってくると、他人の長所からひとつでも多くのことを学びたくなってきます
そして「ありがとう、教えてくれて」というふうに、自分が学ぶべきことに気づかせてくれる他人に、感謝したくなってくるのです
つまり、以前は気にも留めていなかった相手の長所に、気がつけるようになるのです
さらに自分が成長することを考えると、他人の欠点を見たときにも、相手を批判する気持ちは生まれなくなります
むしろ反対に、自分の欠点を省みることができるようになるでしょう
つまり、相手の欠点からも、学ぶことができるようになるのです
このように考えると、他人の長所からも、欠点からも学ぶことができるようになります
他人がすべて、自分を成長させてくれる大切な存在になっていくのです
ただ、自分が成長する意欲があまりない場合は、他人の長所に気づくどころか、短所ばかりが気になってしまいます
たとえば会社で、ある程度仕事ができるようになって自信がついてくると、自分と同じようなレベルのことができない人に対して「このくらいのことは、できて当然でしょ」とか「こんなことが、どうしてできないの?」と、欠点を指摘して、相手を責めてしまうことがあるのです
けれども、このような接し方をしていると、相手の意欲を低下させるだけでなく、自分自身の成長までが止まってしまうことになります
相手の欠点を批判することは、自分を正当化しているだけですから、自分にとっても、相手にとっても、何の意味もありません
人を批判するくらいなら、むしろ自分を批判したほうが、自分自身が成長するきっかけになります
そうすれば、相手との関係が悪くなることもありません
相手に「学んでほしい」と思ったら、まずは自分が学ぶ姿勢を見せる
職場では、上司の役割のひとつは、部下を育てることだといわれます
しかし、ここで気をつけなければならないことがあります
上司が部下に教えることが、部下を育てることにはならない、ということです
つまり、部下が自ら学ぶ意欲がなければ、いくら教えても無駄になってしまうのです
部下に対して「この間、教えたはずだよ」とか「何度、言ったらわかるんだ」という言葉を使うことがあるとしたら、それまでにやっていたことは、ただ教えただけだった、ということになります
要するに、教えたことを相手が実行したくなるように、学ぶ意欲を高めることが必要なのです
学ぶ意欲を高めることができなければ、教えた時間と労力が無駄になり、すべてがコストになってしまいます
それは、企業にとって、大変な損失です
やる気にさせることができて、はじめて教えることができるのですから、部下を育てるということは、やる気にさせることに尽きるといっても過言ではありません
そのために必要なことが、上司が部下から学ぶということです
たとえば、朝礼や会議などの場面で、新入社員に「自分がこの会社に入った理由」について、話してもらいます
そこで、新入社員が話す内容を聞いて、上司は、自分が新入社員だったころのことを思い出して「おれも、そういう気持ちで、この会社に入ったんだったなあ」と、志を新たにするのです
若い社員の持っている情熱や純粋さ、吸収力などを見て、上司が自分に足りないところを反省し、成長につなげます
そういう上司がたくさんいる会社ほど、若い社員も学ぶ姿勢を持つようになります
若い社員が上司や先輩のやり方を見て、今の自分に足りないところを自覚し、成長していくのです
「学ぶことは、楽しいこと」という意識を、上司が持っていれば、部下も同じ意識を持つようになり、お互いが学び合うという素晴らしい循環が始まります
反対に、上司が教えることばかりを意識していると、部下の欠点ばかりが気になってしまいます
相手から学ぼうという姿勢が身についていくと、人間関係もどんどんよくなっていきます
相手の長所をみても学ぶことができると考えると、それぞれに個性を認め、尊重し合うことができるようになるのです
人はそれぞれ、能力も感性も違っていたほうがいいのです
それぞれに違う人が集まることで、お互いに学び合うことができ、すべての人たちが成長することができるようになるのですから
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1日1分元気になれる法則
福島正伸 中経出版 2010