仕事が感動に変わる5つの心構え③ 自己原因で考える

考え方

たとえば、あなたの部下に一生懸命に働こうとしない若者がいたとします
彼は、どうして働こうとしないのでしょうか?
この場合も、次のように、いろいろな原因を考えることができます

①「彼自身が、仕事の動機になるような夢を持っていないからだ。夢がなければ、やる気にならないのは当然だ」
②「日本の学校教育に原因があるんじゃないか。今の学校教育は、与えられたことをこなすことしができない人間を育てているだけなんだよ」
③「幼児教育を間違えた両親に原因があるんだと思う」
④「学生時代の友人関係に原因があったんじゃないか?あの地域は不良が多いから」
⑤「不安定な国際関係が、人の意識にまで影響しているんだよ。政府に原因があると思う」
⑥日本は昔から、村社会の中でこういう若者を育ててしまっているんだよ。古来から日本的風土に原因があるんだ」
⑦「うちの会社は、やる気のない人間ばかりだ。こういう風土だから仕方ないよ」

これらの原因は、どれもが一理あるものばかりかもしれません
しかし、これらは直接的な原因かもしれませんが、本当の原因ではありません
これらの原因のもとになった原因、つまり、根本的な原因があるのです
さて、ここではそれらの根本的原因を、上司である自分自身に見出すことにしてみましょう

①「彼のために、仕事の動機になるような、わくわくする夢を語ってこなかったのではないか」
②「日本学校教育のあり方について、文部科学省に対して、どうすべきか何も提言してこなかったのではないか」
③「幼児教育の問題について、その問題を解決するための本を出版してこなかったのではないか」
④「その地域の不良といわれる若者につい語りかけて、彼らの生き方を改善しようとは思わなかったのではないか」
⑤「今後の国際情勢について真剣に考え、どうすればいいか自分なりの見解をもって、できることから行動してこなかったのではないか」
⑥「自分が今まで、日本の風土改革に無関心で、より良くするために何も取り組んでこなかったのではないか」
⑦「どんな若者でも、やる気になって仕事に取り組めるようなリーダーシップを、これまで自分が身につけてこなかったのではないか」

このように考えてみると、そこには必ず自分の出番があることに気がつくと思います
自分がどうすればいいかが、たくさん見つかるはずです
出番がみつかれば、それらに優先順位をつけ、できることから実行していけばいいのです
自分の出番をつくるために、根本的原因を自分自身に見出すことを自己原因と呼びます

さらにもう一つ事例を考えてみましょう
新しく売り出した商品が売れなかった場合は、どのように考えればいいのでしょうか

たとえば、その原因が、努力が足りない営業部にあったとします
その場合、営業部の営業力を高めるための研修企画を考えて、提案してこなかった自分に原因があると自己原因で考え、営業力を高めるための研修を提案してもいいでしょう
また、魅力ある商品を開発することができなかった開発部に原因があったとします
その場合も、やはりお客様の声をきちんと開発に反映できるような、社内体制を作る提案をしてこなかった自分に原因があると、自己原因で考えます
そして、開発部にお客様の声をきちんと伝えていくことができる社内体制をつくる提案を、会社にしてもいいでしょう
このように、どのような問題があったとしても、自己原因で考えることで自分の出番を見つけ出すことができるようになるのです

問題の原因を、誰のせいにするかは、その人の考え方によって決まります
そもそも、人間社会は、すべてのことが複雑に関係し合って成り立っています
原因は、どこにでも存在し、誰のせいにすることも、自由にできるものだからです
ところが、問題を他人や環境のせいにした瞬間から、問題の解決は難しいものになってしまいます
他人や環境のせいにしても、他人や環境は思い通りにならないからです
他人や環境のせいにして、「ああしてほしい」「こうしてほしい」と他に期待するほど、裏切られて、不満が募るようになっていくだけです
つまり、不満をつくり出しているのは、他でもない自分自身なのです

一方、自分自身に原因を見出すことができれば、自分の出番になり、問題解決へのスタート台に立つことができるようになります
もちろんそれは、自分の可能性を試す機会であるだけでなく、人間としての成長の機会であり、社会の中での存在価値を見つけ出すことでもあるのです

そして、そこからは充実感や感動を得ることもできるようになります

他人のせいにすると、その瞬間は楽に思えますが、同時に自分の出番や、改善のチャンスを失い、達成感や感動を得ることもできなくなってしまうのです
自己原因とは、自分の出番をつくり出すために必要な考え方であり、他人のせいにすることは、チャンスを失うということなのです


どんな仕事も楽しくなる3つの物語

福島正伸 株式会社KADOKAWA 2014

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