クレームを利益に変えることができる会社があります
どんな小さなクレームにも、即座に徹底的に対応することで、お客様に感動を与え、さらには信用まで得て、次の大きな仕事にまで発展させてしまうのです
その会社の社員は、問題が起こると自分の出番だとばかりに、よりやる気になって取り組んでいきます
対処するスピードを競い合い、その姿勢でお客様を感動させることを競い合います
その内容は、毎月社内報で発表され、それぞれの功績をお互いに賛美し合うのです
その結果、社員は、クレームから逃げるどころか、それを自分の最高の出番としてとらえ、そこから生きがいを得ています
問題が起きたことが問題なのではなく、その問題をどのように受け止めて、次に活かしていくかが、本当の問題です
技術開発や商品開発、新規事業などの仕事は、ほとんど毎日が失敗の連続です
失敗を怖がっていたり、嫌がっていたりしたのでは、新しい価値を創造することはできません
また、どのような仕事をしていたとしても、人間が関わる以上、失敗はつき物であると言っても過言ではないでしょう
失敗したことがない完璧な人間などいないと思います
問題は、失敗そのものにあるのではなく、たとえどのような失敗をしたとしても、その後にどう活かしていくかなのです
チャンスにできない出来事はありません
シャンスにしなかった人がいるだけです
いかなる失敗も、未来の糧になります
しかしながら、わたしたちは失敗が続くと、次第に意欲を失ってしまうことがあります
また、あらかじめ失敗を恐れるために、新しいことにチャレンジしなくなってしまうこともあるでしょう
ですが、失敗を前向きに考えてみると、必ずそこから学ぶことがあるはずです
どうしてうまくいかなかったのかを考えれば、何が理由が見つかるはずだからです
その理由がわかれば、次にどうしたらいいかがわかり、次の可能性を高めることができます
仮に、一つの失敗から一つのことが学べるとすれば、失敗するほど学ぶことが増えていくことになり、その1つがノウハウとなって積み重なっていくことで、次のチャレンジの成功確率はどんどん高くなっていきます
そして、ノウハウが確立した時、見事に成功することでしょう
次のチャレンジは、常に過去最高の成功確率なのです
自分が簡単にできることは、他人にも簡単にできるものです
しかし、自分が簡単にはできないことは、他人も簡単にはできないことでしょう
もし、自分が失敗からノウハウを積み上げていけば、他人ができないことができるようになっていくはずです
このように考えると、失敗が続くほど、やる気になっていくこともできるのではないでしょうか
さらにこのようなことは、人間関係においても、まったく同じことが言えます
たとえば、あなたが上司から怒られたとします
この出来事をどのように受け止めるかは、自分次第です
それでは、どのように受け止められるかを、具体的に考えてみましょう
以下に「上司に怒られた」という出来事に対して、7つの受け止め方を列挙してみました
①上司は、怒ることによって、自分の力を誇示しようとしている ②上司は、家に帰れば、いつでも奥さんに怒られている。憂さ晴らしだ ③上司は、若い頃いつも怒られており、怒ることが上司の仕事だと思っている ④上司は、能力がないため仕事が追いつかず、いつもイライラしている ⑤上司は、思うように出世ができずに、会社に対して不満を抱いている ⑥上司は、仕事ができる自分に嫉妬している ⑦上司は、自分が早く成長してくれることを願って、わざと心を鬼にしている
これらのうち、①~⑥に関しては上司を否定的に捉えています
つまり、出来事を前向きに受け止めているとはいえません
このように受け止めてしまうと、その後は、言われたことに仕方なく取り組むようになり、仕事がつまらなくなるばかりでなく、上司との信頼関係も崩壊していくことになります
一方、もし⑦のように考えることができれば、ますますやる気になり、自分のことを怒ってくれた上司に対して、感謝したい気持ちになることもできるのではないでしょうか
もし、怒ってくれた上司に感謝して、自分をより成長させる機会にすることができれば、それはきっと両者にとって意味のある結果になると思います
そしてそれは、上司とのより強い信頼関係を構築することにもなるでしょう
相手の発言や行動を、自分がどう受け止めるかで、自分の行動が変わり、その結果、相手との関係も変わってくるようになります
どのような出来事も、自分の受け止め方によって、その後はまったく違った結果になります
この受け止め方というのは、性格ではなく選択です
人はいつでも自分の意思によって、どのような選択をするかを決めることができます
もともとの考え方とは、生まれながらにして身につけてしまっているものではなく、その都度、自分で自由に選択することができるものです
そして、その選択の習慣化が、その人の人生になります
つまり、この選択のパターンを変えることで、同じ環境の中にいたとしても、人生を楽しいものにしたり、つらいものにしたりすることもできるのです
考え方の選択次第で、どのような人生でも自分でつくり出すことができるようになります
素晴らしい人生は、自分の意思によってつくり上げることができるのです
仕事をしていれば、必ずと言っていいほど問題が起こります
しかし、その問題を前向きに受け止めて、次に活かすことができればいいのです
問題が起これば、目的が達成できなくなるのではなく、問題が起こるほど成長し、何でもできるようになると考えればいいのです
私は問題が起きた時、まず心の中で思います
「この時を、待っていたんだ!」
こう考えただけで、自分の意識がまったく変わるからです
問題が起きた時こそ、自分の考え方を試すチャンスです
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どんな仕事も楽しくなる3つの物語
福島正伸 株式会社KADOKWA 2014