してはいけないことがわかる人が、選ばれる。
どんな仕事の現場にも、上司にとって、「これだけは、して欲しくないこと」が必ずあります。
上司は「何をしてもいいよ」と言います。
ところが、好き放題をすると、上司に怒られて、次から選んでもらえないのです。
「好きにしていい」と言われた時ほど、してはいけないことがあります。
制約がいろいろある時のほうが、逆に制約以外は好きなことができるのです。
制約を最初に出される現場と出されない現場とがあります。
間違いやすいのは、制約を出されない現場です。
そこには「これをしたらダメ」という見えない制約があるのです。
まずは、上司の一番嫌いなことを感じ取ります、
それから、得意先・お客様が「これば絶対イヤだ」ということをしないようにします。
上司や得意先・お客様が何も言わなくとも、それを見抜いていくのです。
能力があるのに次から呼んでもらえない人は、一番してはいけないことをしてしまったのです。
上司が寛大かどうかは、重要ではありません。
「これだけはしてはいけない」ということ以外には寛大です。
「寛大な上司」と「寛大でない上司」とがいるわけではありません。
嫌いなことの価値軸は、一人ひとり違うのです。
失敗しないように頑張るということではありません。
「してはいけないこと」をしてうまくいくよりは、「してはいけないこと」をしないで失敗したほうが、はるかにいいのです。
たとえば、野村克也氏は監督時代、選手に「三振するな」とは言わないで、「考えないでバットを振るな」と言います。
とんちんかんなところでバットを振ってカラ振り三振になっても、考えて振ったのならOKです。
考えないでヒットを打って、まぐれ当たりで結果オーライになるのは、野村監督にとって最もしてはいけないことです。
次から呼んでもらえないのは、結果を出せなかったからではありません。
してはいけないことをしてしまったからなのです。
選ばれる人、選ばれない人。 1ミリの差が、決定的な差を生む
中谷彰宏 ぱる出版 2016
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