ビジネスは自分ひとりでは成し遂げられない
●学校のテストと仕事の最大の違いは、人の助けを借りてもカンニングだ、ととがめられないこと
●新人はどうがんばっても100点満点のアウトプットを出すことはできない。完璧にしようと手元であたためるのではなく、早く出して適切なアドバイスをもらい、質を高めよう
●わからないことを教わるのではなく、わからないことの調べ方を教わる。詳しい人を探し出す能力も必要
●親身になって助けてくれる人がどれだけいるかが、ビジネスパーソンの実力と心得よう
●先輩や上司に応援してもらえる人材を目指そう
自分の行動をチェックしてみよう
□仕事は人の助けを借りるものだと理解している
⇒時間をかけてでも自分ひとりで完璧にやり遂げることが優秀であると思っていませんか?
□誰に助けを求めればいいか、先輩や上司に聞いている
⇒社内の誰がどんな得意分野を持っているが、周囲の人に教えてもらっています
□いろいろな人の力を借りて、問題を解決しようとしている
⇒助けてくれる人が多いほど高い成果が出せると心得ています
入社1年目の疑問・質問にすべて答えます
Q.先輩に相談すると「上司の許可を取ったか?自分にはそのような義務はない」と断られ、にらまれました。
A.社内にはいろいろなタイプの人がいるものです。すみやかに違う人に相談してください。社内には、ほかにも相談できる先輩がいるはずです。気にせずに「次」にいきましょう。
Q.上司に「手を動かせ」「自分でやってみろ」と言われているので、自分でやらないと怒られそうです。
A.だからこそ、まずは自分の手を動かして自分でやってみるのです。手ぶらで「教えてください」ではなく、自分でやれるところはやる。そうすると、おのずと「できないこと」や「わからないこと」、「やってみたものの自信がないので確認してほしい点」が出てきます。まさしくそのときが、相談するタイミングです。そうした一連の行動を速くおこなえば効率が上がります。
Q.忙しい職場なので、声をかけるのさえ気が引けます。人の力借りるなんてとても無理です。
A.忙しい職場であれば腰が引けてしまうかもしれません。ですが、若手育成をミッションとしている人が必ずいるはず。そもそも、ラインの直属の上司は部下を育てるのがミッションのはずですし、直接ではなくても、同じ部、課、チームに所属する年次が上の先輩の中に、若い人の面倒を見なさいと言われている人がいるはずです。あなたの仕事の面倒をみることが本業になっている人に「5分だけいいですか?」「いつなら時間があいていますか?」と聞いてください。途中で仕事を遮るなら、あらかじめ時間を決めておくのも効果的です。メールでポイントをまとめて送ってほしいと言われたら、そのようにしましょう。いくら業務だからといって、相手の都合もあるので考慮しつつ、お願いしましょう。
Q.人の力を借りるのは、本当に難しいです。最初の一歩としてアドバイスをいただければ。
A.何から何まで聞くのではなく、まずは「たたき台」をつくってそれを見せる。自分でわかっている範囲は言う。わからないところを具体的に聞く。「私の進め方で問題ないか、ご確認くださいますか」とか「不明な点が出てきましたので、アドバイスをいただきたいのですが」など、「何を聞きたいと思っているのか」が明確に伝わるような一言を投げかけるのもコツです。
Q.その分野に強い部署の先輩に聞きに行ったら、直属の上司に「勝手なことをするな」と怒られました。社内でも情報を漏らしてしまうと、案件を奪われるからだといいます。どのように判断すればいいでしょうか。
A.これは社内政治のようなものなので、あらかじめ上司に聞いてから行動するしかないと思います。社内のゲームのルールは、しっかりと理解してから動くことです。自分で判断できないなら、いちいち面倒だと思わずに、上司に聞いてからにしましょう。でもそのうち慣れるので、自分で判断できるようになると思います。
入社1年目の教科書[ワークブック]
岩瀬大輔 ダイヤモンド社 2018